動物の災害対策

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動物保護と災害対策

2011年に発生した東日本大震災では、多くの動物たちが被災しました。飼い主と一緒に避難できなかった動物は被災地に取り残され、餓死や放浪状態となったり野生動物に襲われるなど、様々な問題が発生しました。その後も地震や大雨による洪水が全国各地で発生しています。
災害は滅多に発生するものではなく、いつどこで起きてもおかしくありません。飼い主も動物も悲しい思いをしないためにも、避難が必要になった場合に慌てず対処できるように、普段から対策を実施しましょう。
このページは主に環境省のホームページ「ペットの災害対策」を参考に作成しています。

自治体の対策を確認する

各地での災害発生を受け、環境省や各自治体により、ペットの災害対策が進められています。ただし、自治体による対応の差が大きく、大都市や過去に災害が発生した自治体で対策が進む一方、きちんと対策が取られているのかわからない自治体もあります。

  1. お住まいの市町村の広報誌やWEBサイトを閲覧し、ガイドラインや対策を確認しましょう。
  2. 市町村に災害対策情報が掲載されていない場合、都道府県や動物愛護センターのWEBサイトもご覧ください。
  3. かかりつけの動物病院やペットサロン、ご近所の愛犬・猫仲間と普段から情報を交換しあうことも大切です。

また、ガイドラインに使用されている用語についても理解が必要です。よく使用される避難の種類について理解し、お住まいの自治体ではどの避難行動に対応、推奨しているのか確認してください。

同行避難

災害の発生時に、飼い主がペットを同行し、指定緊急避難所等まで避難すること。ペットと供に移動を伴う避難行動をすることを指し、避難所等において飼い主がペットを同室で飼養管理することを意味するものではない

同伴避難

被災者が避難所でペットを飼養管理すること。ただし、同室で飼養管理することを意味するものではなく、飼養環境は避難所等により異なる。

在宅避難

自宅の安全性が確認され、自宅で継続して居住できると判断した場合に、自宅で避難生活を行うこと。食事や入浴などの支援を避難所等で受ける場合も含む。

出典:環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」 より


環境省や多くの自治体では、「同行避難」を推奨しています。避難所等では人と動物のスペースが区別され、動物は専用のエリアで生活することになります。「同伴避難」でも、必ずしも同じスペースで避難生活ができるとは限りません。
同伴避難を初めて実施したと言われる岡山県総社市や、ペットがいることで避難を躊躇し被災する事例もあるため、各地の自治体で同行・同伴避難が導入されてきています。動物を飼育していない人や苦手な人の理解も必要なため、普段からマナーを守り広く理解を得ていくことも重要です。

自治体別 動物の避難所受入れ情報

2021年7月、静岡県熱海市で土石流が発生し、大きな被害をもたらしています。その後も大雨による洪水が各地で発生しています。災害が発生した地域の動物と一緒に避難可能な避難所情報を収集し、可能な限りSNSにて発信していますが、自治体による設置状況および情報の発信状況に大きな差があることが明確になってきました。
動物を飼育する場合、お住まいの地域や引っ越し・移住先の自治体で、同行避難などが可能か、その情報が明確に発信されているか、という点も重要です。
※情報の増加に伴い、避難所一覧を独立ページへ移行しました。下のリンクからご覧ください。

普段の備え

災害が発生した時に慌てなくてよいように、普段からの備えが大切です。

  • 名札、鑑札、マイクロチップの装着
    避難中にはぐれてしまったり、避難先で動物との生活スペースが別になる場合に備え、迷子札やマイクロチップを装着しましょう。
  • 連絡先情報、動物の写真の準備
    迷子札とは別に、飼い主の連絡先や動物の写真も準備しましょう。環境省のガイドラインには、飼い主情報を記載するフォーマットが用意されています。
    ワクチンの接種や健康状態、投薬状況も記載しておくと、はぐれて保護された場合も対処してもらえる可能性があります。また、はぐれてしまった場合には、動物の写真も役立ちます。
  • 避難先の確認
    自宅から避難先までの経路を把握しましょう。普段の散歩のときにルートや所要時間、荷物を持って歩いて避難する場合など、シュミレーションが必要です。
  • マイ・タイムラインの作成
    洪水の発生を一人一人が想定し、時系列で取るべき行動をまとめるものです。国土交通省や一部の自治体のホームページに掲載されています。ご家庭の状況や地域に合わせて、ハザードマップを確認しながら作成できます。
    国土交通省関東地方整備局の水災害対策センターでは、webで作成できるマイ・タイムラインが紹介されています。
  • フードや生活用品の備蓄
    フードや水は5日分、できれば7日分の準備が必要と言われています。健康上、特別なフードが必要な場合は多めに準備しましょう。避難用のキャリーバッグとポータブルトイレが一体になったものも市販されています。災害の際は人への支援が優先となるため、動物に必要なものは自分で準備する努力も必要です。
  • しつけ
    避難先で周囲に迷惑にならないように、基本的なしつけや環境の変化に慣れさせることが必要です。多くの人がいる避難先でも興奮しない、雷の音におびえて吠えない、ゲージに慣れさせるなど、普段と異なる環境を想定して訓練しましょう。
  • 健康管理
    狂犬病予防や各種ワクチン接種は必ず実施しましょう。避難先で動物を預ける場合、ワクチン等の接種が条件になる場合もあります。はぐれたり脱走した場合に備え、不妊去勢処置もできる限り実施します。

災害が発生したら

身の安全を確保することを第一に考えましょう。地震はいつ発生するかわかりませんが、大雨や洪水などは予め避難することができます。避難後に「何も無かったね」で無事に帰宅できれば、それに越したことはありません。事前に避難可能な場合は、ためらわずに避難しましょう。

災害が発生したとき、動物と一緒なのか、別であれば合流できるのかなど、状況により取るべき行動が変わります。
環境省のガイドライン『災害、あなたとペットは大丈夫?一般飼い主編』に、災害発生時のフローチャートが掲載されています。普段から災害を想定し、それぞれの状況をご自身に置き換えてシュミレーションしましょう。
想像を超える災害など、事前の準備が役立たない場合もあります。どのような状況でも、命を守ることを第一に行動してください。

参考リンク

動物の災害対策を検討するときに役立つリンクを集めました。特に、環境省のWEBサイトには様々なガイドラインがそろっています。過去に大きな災害が発生した自治体のWEBサイトには、その時の状況や経験を踏まえた対策が掲載されているところもあります。過去の経験から学ぶことは多くありますので、ぜひ参考にしてください。

さいごに

災害が発生すると、今までの生活が一変してしまうこともあります。動物との生活はかけがえのないものですが、普段の世話に加えて、防災の対策も必要な時代です。動物と生活したいけれど、動物を守るための災害対策を実施できない可能性がある場合は、『動物を飼育しない』という選択肢もご検討ください。
繰り返しになりますが、避難するべき時はすぐに行動を起こしましょう。「あの時避難しておけば・・・」という後悔は、避けることができます。

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